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退職代行を使えば引継ぎは免除されるのか解説

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退職代行を使えば引継ぎはしなくて良いとか、いや引継ぎはしなくてはいけないとか、ネット界隈では色々な意見があります。

これから退職代行を使おうと検討している人からすればどっちなのと思われるでしょう。

結論を言うと無断欠勤常習者などの問題社員でなければ、裁判レベルでは引継ぎをしなくても問題ないと考えられます。

ただし、会社に莫大な損害が発生した場合は本気になって損害賠償請求をしてくることが考えられます。上場している規模の会社だとあまり聞きませんが、数百万とか数千万円の損害で屋台骨がぐらつく中小企業だとポツポツと損害賠償したという事例があります。自分の会社の規模も計算に入れ、リスクを最小限に抑える努力はした方が良いです。

詳しく解説していきます。

法律では引継ぎの要否を明確に定義していない

業務の「引継ぎ」についてよく取り上げられる法律があります。
条文を載せておきます。

労働契約法第3条4項

労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

分かりやすく言えば、「会社も従業員も労働契約を守って真面目にやろうね」と書いてある程度で「引継ぎは労働者の義務である」とは条文には書いてません。

従って見解が分かれるのですが、基本的には労働関係の法律は労働者を守られるようにできているので、法律面では労働者有利と考えて間違いないです。

・法律では引継ぎの要否を決めているわけではない
・裁判になれば労働者側が有利

裁判所が損害賠償を退職者に命じた例はあるものの超レアケース

一般論では、引継ぎをしなくても大体は問題ありません。

年間で退職者は700万人ぐらいいるのですが、過去に退職者への損害賠償を認めた判例で確認できるのは2件だけです。確率でみれば数千万分の一とかそんなものです。

その2件というのは「ケイズインターナショナル事件」と「ラクソン事件」です。
詳細は退職代行SARABAのブログ記事に記載がありますので読んでみて下さい。

99%(100%に限りなく近い)は、会社が引継ぎ不十分で損害賠償請求をしても裁判で因果関係を立証できず裁判官から一蹴されて終わります。

労働関係の法律は基本的には労働者を守るようになっており、会社側は引継ぎ不十分なことと損害の因果関係をカチっと証明できなければ裁判所からまともに相手されません。

交通事故でいう車と歩行者みたいなものですね。(車=会社、歩行者=労働者)

逆に言えば会社が退職者を訴えることはポツポツとあります。
割と最近の例がネットにありましたので貼っておきます。
判例 退職時の引継ぎ不十分 賠償無効 (2018年5月号より抜粋)

この例も会社が因果関係を証明できず裁判所に一蹴されてます。しかも逆に会社から退職者へ100万円の支払い命令が出てます。

裁判云々の結論としては、損害賠償で訴えられてもあなたが相当な悪意をもって引継ぎをしなかったわけでなければ、まず裁判では勝てます。

ここでいう相当な悪意は「引継ぎをしないことにより会社に損害を与えてやろう」という意思のことで、これもあなたが周囲に言いふらしさえしなければ会社はその悪意を証明できません。

とはいっても、訴えられて裁判をやらなければならないという手間はあります。

・退職者が引継ぎ不十分で損害賠償を命じられる確率は数千万分の1ぐらい
・あなたに相当な悪意が無ければまず大丈夫
・訴えられることはポツポツある(裁判官は味方になってくれる)

会社は引継ぎを免除するというより泣き寝入りするしかない

前項でも述べましたように、引継ぎ不十分による損害賠償を裁判所が認めるのは超超レアケースです。

あなたが日頃から無断欠勤をしまくっている悪徳社員でない限りはまず裁判で会社が勝つことは無いので、会社としては引継ぎをせずに急に辞められても泣き寝入りするのが普通です。

というわけで
裁判レベルで考えると引継ぎはせずとも辞めても問題ないといえます。

正直、引継ぎをしっかりやらなきゃ辞められないなんて言ってたらいつになっても辞められませんし、憲法で職業選択の自由を保障しているわけですから、引継ぎしなきゃ辞められないわけがないのです。

職場の体制にもよる

あなたの職場の運用体制も引継ぎの要否を考える上でよく考えた方が良いです。

一人欠けても他の人がフォローできる体制であれば大体は引継ぎはなくてもどうにかなることが多いでしょう。例えば日頃から2人1組で仕事をするようになっているとか、飲食店のようにチームで動いている場合です。

一方、一人一人が個人商店みたいになっているとか、取引先に常駐している、各々で案件を持ったり、各々で顧客を囲んだりするような体制であれば引継ぎをしないと取引先に影響を与えることは避けられません。

損害賠償云々の話まで発展するのは大体は後者の場合です。自分の職場の体制が後者であれば、最低限の引継ぎすらしないと損害賠償リスクは高くなります。

職場の同僚とは縁を切る覚悟で

裁判レベルでは問題ないと書きましたが、残された同僚達はあなたの引継ぎ不十分な業務をやらされることになります。

これに対して嫌悪を感じない同僚はいないでしょう。

元々、退職代行を使って辞めるぐらいですから同僚との縁なんか気にしてはいないでしょうが、もし同僚と今後も関係を続けたいというなら、退職代行ではなく、自力で円満退職にもっていった方が良いです。

ただし、仕事を抜きにしたプライベートでの付き合いが無い限りは、退職後も縁が続くことはないですよ。会社だけでの付き合いは会社が違えば付き合いはなくなります。この退職後の人間関係については別途記事に詳しく書いてます。

退職後、元いた会社の人間関係はどうなるか?【社会人の人間関係論】

引継ぎ不十分による退職金の減額や不支給に注意

引継ぎが不十分なことを理由に退職金を減額したり不支給とする会社もあります。

こういう会社は明確に就業規則に「引継ぎをせずに退職したものに退職金を支給しない」といった文言が書いてます。(ここまで直接的な表現ではないかもしれませんが。)

こういったケースで裁判所が着目するのは2点です。

①就業規則等に退職金減額や不支給とする規定があるか
②退職者自身がその措置に相当する事情があるか

分かりやすく言えば「会社のルールとして退職金を払わない場合のことを記載していて、さらに退職者が相当な問題社員だったら退職金は払わなくても良いんじゃない?」というのが裁判官の考えです。

逆に言えば、就業規則にそういった文言がない、若しくはあたなが真面目に働いてたら退職金の減額や不支給は不当となります。

日頃から真面目に働いていると、こういう時は安心ですね。

結論:引継ぎはしなくても裁判レベルでは問題ないが最低限の手は打っておくべし

結論としては、日頃から真面目にやってれば引継ぎくらいせずに辞めても裁判レベルでは不問となる可能性が超高い、ということです。

ただし裁判の結果がどうであれ会社から訴えられることに関してはポツポツと事例があるので、なるべく会社を敵に回さない工夫をした方が良いでしょう。

また、あなたしか知らない業務で、それを引き継がないと明らかに会社に莫大な損害が出ると分かっている案件があれば、例えば退職代行を使って退職してしまうまでに引継ぎ資料を作成しておく等は最低限した方がリスクが少ないです。

一切引継ぎをしないのではなく、最低限はやったという姿勢を見せることで、会社も矛を納める場合が多く、裁判所が引継ぎの意思ありとして認めてくれるはずです。

実際、私も会社を辞める際は引継ぎは一切やりませんでしたが、自分が抱えている案件のリストだけは書き置きしていたためその後一切不問でした。

退職代行で民間企業を使うのはオススメできない

退職代行を選ぶ基準に関して述べておきます。
退職代行には運営母体が3種類あります。

①民間企業
②労働組合
③弁護士

民間企業の退職代行は伝言役しかできないので労働組合か弁護士が運営する退職代行を選ぶようにして下さい。
これ重要です。

退職代行業者の選び方は別途記事を作成しているので参考にして下さい。
退職代行業者の選び方を解説【3つに絞りました】労働組合・弁護士の運営母体を選ぶべし