会社に退職意思を伝えると高確率で引き止められます。
それこそ様式美と思われるぐらい確実に。
堅い意志で伝えたと思ってもいざ上司と直接面談して引き止められてしまうと決意が揺らいでしまうものです。
この記事では今現在、退職申し入れの面談で心が揺らいでしまった人に向けて持つべきマインドをお伝えします。
私自身、会社員時代に何人も引き止めを行い、逆に私の退職時は引き止められました。
引き止める側と引き止められる側両方の経験から述べていきます。
上司は本心で引き止めたいとは思っていない
いきなり結論から言います。
あなたが退職申し入れをしてきたら余程のモンスター社員でもない限りとりあえず引き止めます。引き止めるのは別にあなたを特別扱いとかでなく、本心でなくても止めます。
理由は後述しますが、会社として社員の退職を引き止めるのは当たり前です。
逆に引き止められもしなかったら、かなり悪い評価を下されていたか、あなたが入社間もなく育成段階で辞められても大したダメージにならないか、人員が余っているかです。
退職を引き止められない人の特徴
・入社間もない(育成段階)
・普段から評判が悪い
・人員が余っている
私自身、会社員時代には部下2人から「辞めます」とはっきり申し入れを受けたことがあります。(時期は各々違います)
その時本心では「ちょっと能力的に厳しいし、確かに辞めた方が身のためだな。」と思いながらも上司としてまずは引き止めました。
会社はあまり使えない人でもとりあえず引き止める
私に退職申し入れをしてきた部下は二人とも能力的に大きく劣り、普段から周囲に叱られることが多く精神的に参ってきているのは見て取れました。
そんな部下二人から退職申し入れを受けた際、二回とも共通して同じことを考えました。
「辞められたら自分に業務負荷が掛かってくるから、引き止めよう。」です。
ですので私としては当然、甘い言葉を掛けて決意を折りに行きます。
実際、二人とも退職を断念しました。
参考程度に部下の退職意思を折るために私がしたことを挙げておきます。
部下の退職意思を折るためのテクニック集
・「俺はお前のこと買ってるぜ」などと言って褒め倒す
・「その気持ちよく分かるわ」と同情する
・「俺も若いころは同じこと考えてたわ」と言って同調を狙う
・「俺もこう見えてかなりシンドイんだわ、一緒に頑張ろう」と鼓舞する
上司はこういったことを本心でもなく言ってくるものだと覚えておいて下さい。
そこそこ演技力のある上司だと部下はイチコロです。
正直、私でも20代前半の社員なら余裕で説き伏せることができます。
中には本心で辞めてほしくないと考える上司もいるかもしれませんがレアケースです。
そもそもプライベートで濃い付き合いがない限りまずあり得ません。
演技と本心は見分けが付かないので演技と思って下さい。
プライベートでの付き合いが無い場合の上司の引き止めは、100%演技です。
なぜ引き止めてくるのか
なぜ上司はあなたの退職を引き止めるか、について解説します。
理由は3つあります。
退職を引き止める理由
・人員が減ると単純に自分と周囲の負荷が増える
・退職手続きが面倒
・上司としての評価が下がる
これ以外にも、さらに部門長クラスの視点では別に経営的観点からの理由になってきますが
長くなるので割愛します。
それぞれの理由について詳細を解説していきます。
人員が減ると単純に自分と周囲の負荷が増える
あなたが1人減ってしまうと、人員補充が無い限りはその負荷を今いる人に分散させる必要があります。定時まで暇してるならまだしも毎日残業が続く職場ではその分が丸々残業時間に乗ってきます。
あなたが仮に1日8時間掛けて仕事をしていて職場が8人だとしたら上手く均等に分散しても一人当たり1時間労働時間が増えてしまいます。
1か月20営業日であれば、20時間増えます。残業時間が増えることについては昨今労働規制が厳しくなってきますので上司からすれば面倒くさいこと、この上ないです。
退職手続きが面倒
あなた一人が辞めることでマンパワーがマイナスになるだけでなく退職の手続きが上司の業務に乗っかってきます。
もしあなたがパワハラとか残業未払いとか言い出したら上司はかなりの時間をあなたの退職に取られてしまうでしょう。これは上司側は避けたいところです。
上司としての評価が下がる
会社は人材を豊富に抱えていたいところがほとんどです。
また採用や育成にもコストが掛かっていますので相当モンスター社員でない限りは会社にいてもらった方がコストパフォーマンスが良いのです。
それなのに部下を辞めさせてしまったら、部下の管理もできてないのかということで基本的には上司の評価は下がるものです。
ましてや辞める部下がパワハラとかサビ残云々言い出したら上司として立つ瀬がないです。
引き止めに応じても良いことない
上司が引き止めてくる理由は理解してもらえたでしょうか。
注意してほしいのは、退職を切り出してから上司の言うことに感銘して退職を撤回することはやめた方が良いということです。
何故なら、基本的に一度退職を切り出してきた社員というのは往々にしてその後間を置いて退職を切り出してくるものと会社は考えているからです。退職を切り出した時点で今後出世や要職に就くことは難しくなる可能性が高いです。
普通、退職申し入れを受けた上司は管理職としてそのさらに上の職位の人(部門長クラス)に「●●から退職申し入れを受けたが引き止めた」と報告します。そうしたらさらに上の職位の人は「あいつ(=あなた)は一旦様子見だな」と見なし、当分は要職には就かせません。要職に就かせてまた退職云々言い出したら会社としてリスクがあるからです。
だから、退職を切り出した時点で後戻りはできないと思って下さい。
退職を申し入れた上司とあなたの精神的距離が近い(要は仲が良い)のであればその上司で話を止めてくれる可能性があるので大丈夫だとは思います。ただし、その仲の良さも演技かもしれません。少なくともどの会社であっても役付になっているような人は海千山千です。年齢にもよりますが、あなたが考えている以上にビジネスライクな感覚を持っている人である可能性があります。よく分析して考えて下さい。人間不信になりますが。
上司との面談時の注意点
上司との面談時の注意点も伝えておきます。
※詳細は別途記事を作ってますので参考にして下さい。
退職を会社に伝えるタイミングを解説【退職タイミング徹底解説】常識 VS 非常識
辞める理由は「会社ではどうにもできないこと」にして下さい。これを言うだけで引き止めを受ける可能性が減ります。厳密には上司の引き止めの勢いが弱くなります。
逆に、ネガティブなことを退職理由にするとそこを改善するから残ってくれと言われて話の骨を折られ、そこで面談終了となりますので注意して下さい。
「会社にはどうにもできないこと」の退職理由例
・家族の介護
・病気
・転職先が決まってる など
言ってはいけない退職理由例
・パワハラ
・長時間労働
・向いてない
・苦手な人がいる
引き止められても自分の当初の考えは曲げてはいけない
以上のことから、引き止めを掛けられても当初の考えは曲げない方が良いです。そもそも上司の口先八丁で信念が曲がるくらいなら退職申し入れをするには早いということです。
また、上司と面談して説得されたりうやむやにされたりするのが嫌なら退職代行を使うべきです。
退職代行については別途記事で解説していますので参考にしてみて下さい。
退職代行業者の選び方を解説【3つに絞りました】労働組合・弁護士の運営母体を選ぶべし
当記事の要点をまとめます。
要点まとめ
・退職申し入れをするとほぼ確実に引き止めを受ける
・引き止めは本心ではないことが多い
・引き止めに応じても社内での信用はほぼ落ちる
・引き止めされても動じない覚悟で退職申し入れをする
・上司に口で勝てないのなら退職代行を使う