この記事は
既に退職を決意したものの
どのタイミングで会社に退職を伝えれば良いか分からない人の為に書いています。
では早速解説していきます。
退職申し入れのタイミングは法律で決まっている。
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最初に、前提知識として法律を知っておいて下さい。
簡単に説明しますから身構えなくて大丈夫です。
結論から言いますと退職を会社に伝えるタイミングは法律で決まってます。
もう少し厳密に言うと、「遅くともこの日までに申し入れしなさいよ」というものが決まっているのです。法律の名は「民法」と「労働基準法」です。
この法律で決められた日より前に会社が設定することもできます。
それが各々の会社が作っている「就業規則」です。
就業規則は10人以上の会社では必ず有り、従業員がいつでも閲覧できる状態になっています。
就業規則に載っている退職申し入れタイミングは普通、法律の設定より長めに取っています。会社側からすると法律の設定が短すぎるのですよね。
この就業規則に載っている退職申し入れのタイミングと法律のタイミングとでどちらを優先するかという議論が法律界隈では大昔から行われています。
どっちなのと言う話ですが、答えを言いますと法律を優先するのが大方の見解です。判例も出ています。
就業規則に退職の1年前なんて書かれたらなかなか退職できないですから
法律は労働者を守ってくれているのです。
というわけで、具体的に法律の該当条文を載せておきます。
退職申し入れタイミングに係る法律
・民法627条1項 無期雇用者の退職の申し入れは退職日の14日前
・民法627条2項 月給制の人は当月前半申し入れで翌月退職
・民法627条3項 年俸制の人は退職日の3か月前申し入れ
・民法628条 有期雇用者は契約期間内は原則退職できない。
※ただしやむをえない事由があればすぐ退職できる
・労働基準法137条 有期雇用者でも1年以上働いてるならすぐ退職可
退職に係る法律全般については別途記事を作成していますのでそちらを参考にして下さい。
③「会社に明日から行かない」を可能にするには【法律知識編】覚えるのは8つ
ちょっと堅い感じがして読みにくいと思いますので
もう少し嚙み砕いて解説します。
まず、一番多いであろう普通のサラリーマンやアルバイトは無期雇用ですので
自分が退職したい日の14日前が退職申し入れのリミットになります。
無期雇用且つ月の給料が一切変わらない人は辞めたい月の前月前半。
野球選手などの年俸制の人は辞めたい月の3か月前。
有期雇用の契約社員や派遣社員の人は契約期間内は基本辞められませんが例外が有り
1年以上働いているならいつでもやめられます。
また、どのパターンであってもやむを得ない事情があれば退職を認められます。
やむを得ない事情
・家族の介護
・病気
・セクハラ、パワハラを受けている など
ざっくりですが、前提知識として以上のことは覚えておいてください。
ここまで論じたことをまとめておきます。
退職タイミングに係る法律についてまとめ
・退職のタイミングは法律で決まっている
・会社も法律とは別に就業規則で定めているが、法律が優先される
・無期雇用は退職の14日前
・無期雇用且つ月給制は辞めたい月の前月前半
・無期雇用且つ年俸制は辞めたい月の3か月前
・有期雇用の人は契約期間内は辞められない。
ただし1年以上働いていればいつでも辞められる。
・いずれの場合もやむを得ない理由があればいつでも辞められる
円満退職を目指すか、そうでないかでタイミングは変わる
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前項で最低限の知識を付けてもらいました。
ここからは実践的な話をします。
あなたは円満退職を目指していますか。
それとも円満でなくても良いと思ってますか。
それによって退職を申し入れるタイミングは変わります。
表現を変えると、常識や社会人マナー、社会的責任を優先したいか
常識や社会人マナー、社会的責任なんかよりさっさと辞めたいか、とも言えます。
常識や社会人マナー、社会的責任を優先したいなら当然自分に物理的、時間的負荷が掛かります。言い換えれば会社に損が出ないようにするのですから相当の引継ぎ期間は掛かります。
関係者への挨拶なども(もう一生会わないのに)しっかりやらなければなりません。そこは覚悟をするようにしてください。会社に対して遺恨が無いなら良いですが、遺恨があるのにこの方法を取るのなら辛い期間になります。
非常識・マナー違反でも良いという人は物理的、時間的負荷は掛かりませんが
自分の責任感と戦う必要はあります。
余談ですが、私はこと退職において、会社に遺恨があるのなら常識・マナー・責任感など必要ないと思ってはいます。それらは全て会社に都合良く作られているからで、守ろうとしたら自分の労力と時間を膨大に犠牲にするからです。腹が立つ会社のために最後にまた自分んを犠牲にしなければいけません。
常識等を守ったとして、あなたの資産が増えるわけでもないし、何か得をしますかという話です。退職の理由にもよりますが、会社に不満があって辞めるのに律儀に責任感を感じている人はもう少し自分軸で物事を考えた方が人生ラクになると思います。
私が仮に経営者だったら何も言わずにこの良く分からない常識やマナーを守ってくれる人は大変ありがたい存在です。何故なら自分の労力と時間を犠牲にして会社に尽くしてくれているからです。ここら辺の考え方は色々ですが。
円満退職を目指したい場合の退職申し入れタイミング
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円満退職を目指したい方は、極端な話を言うと法律を見てはいけません。
会社の要望を十分に聞き入れて、それに従った方がベストです。
例えばあなたが無期雇用だとして、会社の就業規則に法律と同様「退職の14日前」と書いているまともな会社であっても実際に退職申し入れをしたら数か月先を指定される場合があります。
というのも、就業規則には14日前とは書いてますが現実的には人員補充や引継ぎ期間を考えると相当人員に余裕が有って引継ぎが日頃からできている体制でない限り、14日間なんて大体は無理だからです。
円満退職というのは基本的には会社にとって都合の良い表現だと私は思っています。
もう今すぐにでも辞めたいのに数か月先の日を指定されて何が円満だという話ですよね。
退職を申し入れした時点であなたは会社からすると悪者、迷惑者なわけです。
退職者は悪者、迷惑者なんだから最低限会社の要望は聞けよというスタンスで会社は応じてきます。これは覚えておいてください。
円満退職でなくて良い人の退職申し入れタイミング
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逆に、円満退職でなくても良いという人は法律に従っていれば良いだけです。
多くの無期雇用サラリーマンであれば退職の14日前でOKです。
しかもこの14日間について法律では「出社しろ」とは言ってませんから
有給休暇が14日以上あれば問答無用で「明日から会社行きません」は可能です。
私も実際にやったのですが、思い立ってすぐに上司の机に退職届を置いて次の日から出社しませんでした。有給休暇が40日間残ってたので全部消化して無事退職です。この体験談については別途記事を作ってますので興味があったら読んでみて下さい。
自力即日退職した体験談を赤裸々に述べます【その1】怒りこそパワー
自力即日退職した体験談を赤裸々に述べます【その2】終わってみるとあっけない
尚、いきなり会社に行かない場合は引継ぎの問題がよく挙げられます。
会社に大損害が出るのならした方が良いというのが私の考えではあるものの
大体はしなくてもどうにかなるものです。会社は泣き寝入りしてくれます。
損害賠償請求がどうしても嫌だという場合はやむを得ない事情を作り出して辞めてしまえば良いのです。
もう一度やむを得ない事情を貼っておきます。
やむを得ない事情
・家族の介護
・病気
・セクハラ、パワハラを受けている など
「コンプライアンスなんて知りません、パワハラ上等です」な会社を相手にする場合は
自力で退職するのは困難な場合が多いので退職代行業者や弁護士に頼むのがベストです。
退職代行の選び方については下記に別途記事を作ってますので読んでみて下さい。
退職代行業者の選び方を解説【3つに絞りました】労働組合・弁護士の運営母体を選ぶべし
まとめ
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以上、簡単にですが退職のタイミングについて法律を根拠にしながら一般論を述べてみました。要約を記載しておきます。
当記事の要約
・退職を伝えるタイミングは法律で定められている
・会社の就業規則にも独自のルールが書いてある
・就業規則より法律が優先される
・実際は就業規則に書いてあるタイミングより退職を後ろ倒しにされるケースが多い
・円満退職を目指すのなら会社のリクエストを通すしかない
・円満退職でなくて良いならすぐにでも出社しないことは可能
・確実に且つスムーズに退職したいなら退職代行を使う